奈良医院だより  bQ12

                                                                                    〒018−3322

秋田県北秋田郡鷹巣町住吉町7−1

                         奈 良 医 院

TEL(0186)62−1146

FAX(0186)62−1194

http://digital-k.com/nara.htm

                            平成16年8月1日

                            (2004年)

熱中症に注意

奈良正人

先月から記録的な暑さが続き、熱中症で病院に運ばれたり死亡したとのニュースが例年より多くみられるように思います。暑いときには体温調節のために汗を多くかき、気化熱を奪うことで体温上昇を予防しようという生体の働きがあります。しかし水分摂取が少なかったり追いつかなかったりすると、体温のコントロールがうまくいかなくなり危険な状態になります。

暑いときには暑い場所での作業やスポーツをしないというのを原則にしないと、熱中症は防ぎきれないと思います。熱中症は炎天下にしか起こらないという誤解が死亡事故につながることがあります。熱中症になると血管が拡張し血圧が低下し、失神することがあります。自覚症状としては体のだるさ、四肢やおなかの筋肉が痛んだりけいれんを起こしたりしてきます。さらにめまい、意識がもうろうとしてきます。応答が鈍いなど意識障害があるときは死亡の危険があります。すぐ救急車を呼び、医療機関に運ぶ必要があります。到着までの間水をかけたり、ぬれタオルをあてたりして、体を冷やし続ける必要があります。意識障害がなければ、体を冷やしスポーツドリンクなどで水分と塩分を補給して回復を待ちますが、それでも回復しない時は入院治療が必要です。

熱中症は外での作業やスポーツ現場でのみ起こると思われがちですが、室内でも起こり得るとの認識を持つことが必要です。体温調節機能の未発達な乳幼児や機能低下した高齢者では、車の中や室内でも要注意です。暑いときは乳幼児や高齢者をエンジンを止めた車の中に置きっ放しにしないで、長時間にわたるときは車の外の涼しい環境で待てるように配慮しましょう。介護を受けているお年寄りにも室温の管理や水分の補給について十分な気配りが必要です。夏場の介護の注意点としては、外気温との差は5度くらいに保ち、冷房のききすぎの注意しましょう。水分の補給は一日1.5リットルを目安とし風呂上りや熱が出たときなどはこまめに補給することが大切です。皮膚が乾燥したり唾液がネバネバしてきたり、尿の色が濃いなどの異常があった場合は脱水の可能性があります。早めに医師の診断を受けましょう。

夏場は水分を摂らなすぎて困ることがあっても摂りすぎて困ることはありません。暑さに注意し水分を十分摂り、熱中症を予防し快適な夏を過ごしましょう。

てんじゅ裏