奈良医院だより  bQ18

                                                                                   

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                          平成17年2月1日

                          (2005年)

寝たきりにならないために

奈良正人

寝たきりの原因として脳卒中が良く知られているところです。脳卒中の危険因子として高血圧、高脂血症、糖尿病、肥満、喫煙などがあり、これらを治療しコントロールすることと生活習慣を見直すことが大切と言われています。以前より脳卒中の発生は少なくなり、平均寿命も伸びて、我が国は世界一の長寿国の座を守り続けています。高齢者人口も増え、脳卒中以外で寝たきりになる人が増えています。その原因の一つが骨折によるものです。そのような意味で寝たきりにならないためには、脳卒中にならないことと骨折しないことがポイントとなると思います。

骨折しないためには転倒しないことが最大の予防策です。転倒は高齢者にとって致命的な事故につながります。高齢者の事故死の原因としても、窒息(誤嚥)と交通事故に次ぐ第3位を占めており、寝たきりの原因第2位の大腿骨頸部骨折の8割以上が転倒によって起きています。ですから転倒の予防を真剣に考える必要があります。

転倒予防の注意点として、屋外では(1)滑らない履物を履く(2)ポケットから手を出して歩く(3)杖使用の場合冬場は金具付のものを使用する。(4)段差のある所はしっかり見て確かめながら上り下りをする。

屋外では(1)つまずかないように電気コード、小物などの整理をする(2)手すりの設置(トイレ、浴室、階段)(3)敷居などの段差の解消(4)明るくてまぶしくない照明(5)寝室の照明スイッチは手元の設置(6)滑りにくい床材を使用し濡れたらこまめに拭く(7)カーペットはゆるみやたるみをつくらない(8)スリッパで階段を上り下りしない。などが挙げられます。

肉体的には誰でも年をとると筋力が低下したり、平衡感覚が衰えバランスがとりにくく転びやすくなります。これらを良い形で補うために適度な運動で筋力を落とさないようにしたり、視力に問題があるときは原因になる白内障を手術したり、メガネで矯正し良く見えるようにすることが大切です。眠り薬や精神安定剤などを服用している人は、夜トイレに起きたとき転倒の危険性があり、特に注意が必要です。              

また骨粗鬆症があると骨折の危険性が高くなりますので、生活習慣病の管理と同じように骨量のチェックと必要に応じた治療をすることが大切です。天寿を全うするまで寝たきりにならないで生活できるよう普段から転倒しないよう注意しましょう。

 

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