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                       平成17年5月1日

                        (2005年)

メタボリック症候群

奈良正人

中高年がかかりやすい生活習慣病である「糖尿病」「高血圧症」「高脂血症」は、それぞれ単独でもやっかいな病気ですが、これらの病気が重複すると動脈硬化を促進し、さらには致命的な心筋梗塞や脳梗塞を起こしやすいことが分かっています。最近これらの病気を起こす基礎に糖代謝や脂質代謝などさまざまな代謝異常があることが分かってきました。このため、こうした複合型リスク症候群を「メタボリック症候群」と呼んでいます。

日本内科学会はじめ日本の8学会がメタボリック症候群の診断基準をまとめ、2005年4月に公表しました。

本診断基準では、必須事項となる内臓脂肪蓄積(内臓脂肪面積100平方cm以上)のマーカーとして、ウエスト周囲径が男性で85cm、女性では90cm以上を「要注意」とし、その中で@血清脂質異常(中性脂肪150mg/dl以上、又はHDLコレステロール値40mg/dl未満)、A血圧高値(最高血圧130mmHg以上、または最低血圧85mmHg以上)、B高血糖(空腹時血糖値110mm/dl以上)を3項目のうち2つ以上を有する場合をメタボリック症候群と診断する、と規定しています。但し書きとして、

     CTスキャンなどで内臓脂肪量測定を行うことが望ましい。

     ウエスト径は立位、軽呼気時、臍レベルで測定する。脂肪蓄積が著明で臍が下方に偏位している場合は肋骨下縁と前上腸棘の中点の高さで測定する。

     メタボリック症候群と診断された場合、糖負荷試験が薦められるが診断には必須ではない。

     高中性脂肪血症、低HDLコレステロール血症、高血圧、糖尿病に対する薬物療法を受けている場合は、それぞれの項目に含める。 等があげられています。

メタボリック症候群の人は、糖尿病を発症するリスクは通常の7〜9倍。心筋梗塞や脳卒中を発症するリスクは約3倍にもなると言われています。肥満の人は他の危険因子を厳しくコントロールしないとかなり危ないということです。食事と運動にもっと気配りをし寿命まで人生を楽しみましょう。

 

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