奈良医院だより   bQ23

                                                                  

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                         平成17年7月1日

                          (2005年)

女性が健康であるために

奈良久枝

「戦後強くなったのは女性と靴下」という言葉も死語になったかもしれませんが、やはり最近の平均寿命をみても、女性が大きくリードしていることは周知の事実です。戦後に限らず、お産の時以外は床に付いたことがないとか、陣痛が来るまで畑仕事をしていたなどという話は珍しくありませんでした。この為女性は元来丈夫なものと周囲も思い込み、本人も又、自分の健康を過信してしまいがちです。従って更年期に突入し、閉経の前後に色々な症状が出てくると戸惑いが先に立ってしまいます。この時期卵巣の働きが弱まっていくにつれ、高血圧、高脂血症、動脈硬化、骨粗鬆症、不眠、不安などの精神神経症状が認められるようになり、特に閉経後に増える傾向があります。このことから、更年期以前の女性の健康は、卵巣によって守られ、維持されていると言っても過言ではないでしょう。

つい最近まで、更年期は誰でも通る関門だから、生理的なものだから、生きがいを持って気合で乗り切ろうとも言われていましたが、実際に不具合が多く見られると、積極的に治療をし、むしろ病的状態にならないように予防策を、という風になってきています。

ホルモンを補う治療も行われていますが、生活習慣を見直して、一つでもリスクを減らし、一つでも発病を防いでいこうという姿勢が大切です。肥満にならないような食事制限や、適度な運動は勿論ですが、ストレスを増やさないことも重要です。

しかし、心配なのは中高年よりも、若い世代にみられる極端なダイエットや偏食です。この飽食の時代に、若年層に栄養失調状態があるというのも驚きです。

戦後、先輩達が妊産婦の栄養指導に苦労され、やっと低体重出生児が減少したのに、最近又、増加の兆しがあるとは残念なことです。

せっかく健康を保つため働いてくれている卵巣を自ら壊すような生活習慣の結果、若い女性に無月経や無排卵が生じるのは危機的状況です。彼女達が健康的な中高年を迎えられるのか、まして80歳まで生きられるのかと心配しています。

女性が健康でなければ、家族の健康をも左右しかねません。その為には、自分の身体を常にチェックし、変調に気付いたらすぐに医療機関へどうぞ。我慢は美徳ではありません。今年も基本健診の季節となりましたが、是非声を掛け合ってお出掛け下さい。

一家の大黒柱は男性かもしれませんが、その下の土台石となっているのは女性ではないでしょうか?女性の皆さん、元気で頑張りましょう。

てんじゅ裏