奈良医院だより  bQ35

                                        

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                            平成18年 7月1

                             (2006年)

つつが虫病について

奈良正人

暖かくなり秋田県でもつつが虫病の発生が話題になってきました。つつが虫病は初夏から晩秋にかけて、重篤な患者が発生する恐れがある警戒すべき病気の一つです。特に今年は6月中旬に昨年1年間の発生数を超えていると報告され、多発警報が出ています。

つつが虫は非常に小さなダニの一種で、つつが虫病の病原体を持つつつが虫に吸着され、人の体内に病原体が入り込んだとき発症します。つつが虫病の最初の症状はひどい風邪とよく似ています。全身倦怠感、食欲不振、頭痛、悪寒とともに39℃〜40℃もの高熱が出ます。4〜5日目になると全身に赤褐色の直径2〜3mmの発疹が出現します。この頃までに適切な治療を受ければ、わりと簡単に治ります。しかし適切な治療を受けなかった場合には、高熱が続き、腎臓や肝臓の機能が侵され、肺炎や脳炎症状も出現します。このような場合には長い入院が必要となったり、死亡してしまうこともあります。つつが虫に吸着され、体内に病原菌が入り込んだ場合、吸着された部位が2〜3日目頃には小さな水泡になり、その後膿疱(ウミがたまった状態)になります。これが10日目頃には周りが赤くなって盛り上がったかさぶた(痂皮)となり、いわゆる「刺し口」と呼ばれるものになります。待合室に「刺し口」の写真を掲示してありますので、参考にして下さい。

つつが虫病の予防には、有毒なつつが虫を駆除するのがよいのですが、広範囲に生息している虫を薬剤で駆除することは現実問題としては無理なことです。また、感染または発病を予防するワクチンや予防薬についても、現在は開発されていません。ただつつが虫が取り付いても、病原体が人体に入るまでにはかなりの時間を要します。この時間を利用して、衣類や身体についているつつが虫を避ける工夫が有効です。

@     野外活動の際はできるだけ素肌を出さないこと。

A     野山等から帰宅した際には早めに着替えをすること。

B     着替えた衣類は室内に持ち込まないか、すぐに洗濯すること。

C     帰宅後は早めにシャワーや入浴で入念に体を洗い流すこと。

以上のことに気を付けながら、アウトドアライフをお楽しみ下さい。もし発病しても早期治療で簡単に治る病気ですので、気になる症状が出た場合は早めの受診をお勧めいたします。暑い夏、水分と睡眠を十分にとり、つつがなくお過ごし下さい。

 

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