奈良医院だより  bQ44

                                          

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                          奈 良 医 院

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                             平成19年4月1日

                             (2007年)

鷹巣医師団と北秋田の病院について

大館北秋田医師会副会長、鷹巣医師団代表  奈良正人

当地区には鷹巣医師団があり、1、8、12月以外の毎月第二金曜日に定例医談会を開催している。本年4月には189回を数える程長く続けられており、病診連携に寄与し、医師の勉強と情報交換の場にもなっている。医談会には鷹巣地区だけでなく合川地区の開業医も参加し、保健所長、北秋中央病院11名、米内沢病院2名、合川診療所1名、阿仁病院1名、更に上小阿仁診療所長も登録している。夜間当番医、学校医、健診、予防接種、介護認定委員会、市の医療機関の各種委員会等の協力体制は医談会で相談され決められている。合併前は鷹巣地区だけであった夜間当番医を全市に拡大し、秋田県では旧鷹巣町だけが行っていた肺炎球菌ワクチン接種の公費補助も、この会で提案され実現した事業である。合併によって公費補助は全市に拡大し、インフルエンザワクチン補助も管内で最も高い旧鷹巣町に合わせるなど、全市に恩恵を与える結果になっている。AED<全自動除細動器>も市内に24台と数多く設置され、更に増える予定である。耳鼻科、眼科の学校医も地域全体に配慮した応援体制を敷くなど、医師会と市の協力体制は揺ぎないものとなっている。二次医療機関の充実度には不満があるが、それ以外医療環境としてはかなり進んでいる地域だと自負している。よく「大きい病院」と言うが、大きければ良いのか、レベルが高いのか?この地域には病院で内科、外科、産婦人科、整形外科などの部長として勤務したことのある開業医がいる。少なくとも現在後任として勤務しているドクターより学識も経験も上だろう。二次医療機関として入院室を持つ病院が良いのは、入院治療が必要な患者さんが各科と連携をとりながら、外来では不可能な治療ができるからである。更に個人の開業医では持ち得ない設備を活用した検査や治療ができるからなのである。この地域の二次医療機関に不満があるというのは、各科と連携を取りたくても常勤医のいない科があること、宿直し一睡もできなかったドクターが翌朝から通常勤務という仕事環境にあること、医療設備が十二分でなくドクター個人のレベルを上げても限界にきている現状で今のままの病院を残そうなど、医師を過労死の危険にさらし、診療レベルを上げなくても良いと言っているのに等しいのである。

厚生労働省の調査によると、北秋田市の市民で、北秋田市以外の病院に入院した人の割合は9年前30%位だったのが、平成17年には40%弱まで上昇し更に増え続けているとの報告もある。当院でも年間150枚位の紹介状を書いているが、4割位は北秋田市以外へのものであり、地域の二次医療機関が不十分ということであろう。新病院は遠く不便だからと言う人もいるが、今もっと遠くに出掛けている多くの患者さんにとって、より近くレベルの高い病院の出現は嬉しいものだろう。

 

てんじゅ裏