奈良医院だより  268

                                         

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奈 良 医 院

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平成21年4月1日

(2009年)

予 防 医 学

                   奈良 正人

 

例年以上に流行をみせたインフルエンザもまだ多少の発症はありますが、終息に近付いてきております。インフルエンザを始め、麻疹、風疹、水痘、流行性耳下腺炎、破傷風、ジフテリア、百日咳などは予防接種が行われ発症予防に寄与しています。病気を考えたとき、病気の治療よりも予防が大切なことは誰でも認識していることです。生活習慣病と言われる高血圧症、糖尿病、脂質異常症などの発症率が増加し、多くの患者さんが治療しています。治療している患者さんの中にはお薬を服用しているから安心だと思い、日常生活での注意をおろそかにしている例も見受けられます。お薬を飲んでいるのにコントロールが良くないまま経過すると、合併症の発生率が高くなります。高血圧症、糖尿病、脂質異常症とも脳卒中や心筋梗塞の危険因子です。脳卒中や心筋梗塞の発症を予防するために、生活習慣病と呼ばれる疾患を治療することが大切なのです。

これらの疾患を治療している例では、他の危険因子である肥満、運動不足、喫煙、過労、ストレス等に注意し、合併症が起こらないように気を配るべきです。生活習慣病の治療は脳卒中や心筋梗塞を予防するための手段として考えるべきです。せっかく早期に生活習慣病が見つかったのにもかかわらず、その管理や治療をしっかりしなかったために、早期に寝たきりになったりしている例にふれるたびに残念に思っております。しっかり血圧を下げ、コレステロールや中性脂肪を下げ、血糖をコントロールし、運動不足やストレスを改善し、禁煙することで天寿をまっとうするまで動いていられるようにしたいものです。

高齢になると足腰が弱くなり、転倒によって骨折し寝たきりになる例もあります。転ばぬ先の杖とよく言いますが、下肢筋力の低下を防ぎ、履物に注意して、それでも不安なときは手すりや杖や人の手を頼りましょう。

脳卒中や心筋梗塞の予防における生活習慣病の治療は、まさに転ばぬ先の杖と考えて良いでしょう。

 

てんじゅ裏