奈良医院だより bQ82

                                        

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平成22年6月1日

(2010年)

 

「つつが虫病」に注意

奈 良 正 人

 

暖かくなり秋田県でも野外活動に良い季節になってきました。山菜採りや渓流釣りにお出かけになる機会も多くなると思います。運動不足の解消は高血圧、糖尿病、脂質代謝異常症など生活習慣病にとっても効果が期待できると思います。

 野外活動で気になるのがつつが虫病です。今年秋田県内でも北秋田市で4月に第1号のつつが虫病発症が報告されております。ツツガムシはダニの一種で、つつが虫病の病原菌(リケッチア)を持つツツガムシに刺され、人体内に病原菌が入り込んだ時に発病します。刺し口には特徴があり、小さな水疱から膿疱(ウミがたまった状態)、さらに黒いかさぶたになってきます。初期の症状は全身のだるさ、頭痛、寒気、食欲不振などとともに、39℃〜40℃もの高熱がでます。4〜5日目には全身に赤褐色の直径2〜3oの発疹が出現します。この頃までに適切な治療を受ければ割と簡単に治ります。しかし市販の解熱剤の服用だけで我慢したり、リケッチアに良く効く抗菌剤の投与を受けなかったり、適切な治療を受けなかった場合には、高熱が続き、腎・肝機能が侵され、肺炎や脳炎を合併して死に至ることもあります。ここで大切なことは治療しても熱が下がらないからといって、紹介状を持たずに勝手に病院をハシゴしないことです。通常使われる抗生物質で熱が下がらなくても典型的な症状が時間と共に出てくると、つつが虫病を見逃すことはありません。

 つつが虫病は、刺されてから熱など症状がでるまで約5〜14日位の潜伏期間があります。症状が出てから治療しても間に合いますので、発熱や刺し口に気づいたら早めに医療機関を受診しましょう。仮にツツガムシが身体に取りついていても、身体の表面を移動して下腹部や腋の下など軟らかいところに吸い付くことが多いようです。病原菌が人体に入るまでにかかる時間を利用して、衣類や身体に付いているツツガムシを避ける工夫が発病予防に有効です。具体的には、野外活動の際はできるだけ素肌を出さないこと。帰宅した際はできるだけ早くシャワーや入浴で身体を入念に洗い流し、着替えをすることを心がけましょう。   どうぞ つつがなく お過ごし下さい

てんじゅ裏