奈良医院だより  bQ83

                                        

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   奈 良 医 院

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平成22年7月1日

(2010年)

血管は大丈夫ですか?

奈 良 正 人

 日本人の死亡原因の第1位は悪性新生物(癌)ですが、動脈硬化が原因で起きる2位の心臓病と3位の脳卒中を足すと1位に限りなく近づいてきました。動脈硬化の危険因子には加齢、男性、遺伝等の不変因子と高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙、肥満、運動不足等の可変因子があります。高血圧については治療を継続し良くコントロールすることで脳卒中や心筋梗塞の発症率を減らせると言われています。糖尿病や脂質異常症については継続的なコントロールも大切ですが、発症したら出来るだけ早期に治療を開始した例で脳卒中や心筋梗塞の発症率を有意に減らせているとの結果が報告されています。

 動脈硬化と深い関係にあるコレステロールですが、体内では細胞膜を作ったりホルモンの原材料になったり重要な働きをしています。コレステロールには「悪玉」と呼ばれるLDL-コレステロールと「善玉」と呼ばれるHDL-コレステロールがあります。LDL(悪玉)は全身にコレステロールを運搬し、HDL(善玉)は全身の余分なコレステロールを回収して処理する役割をしています。LDLが増えすぎたりHDLが減ったりすると血管壁にコレステロールがたまり、血管が狭くなったり、硬くなったりしてきます。これが動脈硬化で脳卒中や心筋梗塞がおきやすくなった状態です。動脈硬化を予防するにはLDL-コレステロールを管理目標値まで下げることが大切です。管理目標値は心筋梗塞や狭心症と診断された例では100以下、糖尿病では120以下、その他の危険因子(喫煙、男性45歳以上、女性55歳以上、HDL-コレステロール40未満、心筋梗塞や狭心症の家族歴)が3つ以上も120以下、1〜2では140以下です。しかし心筋梗塞や脳卒中を予防するにはLDL-コレステロール値を管理したうえでL/H(悪玉/善玉)比にも注目する必要があります。最近の研究から、動脈硬化を予防するにはL/H比を2以下、既に脳卒中や心筋梗塞をおこし動脈硬化を退縮させて再発予防をはかる必要のある症例では1.5以下を目標にコントロールするよう奨励されています。奈良医院でもコレステロールを検査した時はL/H比もお知らせするようにしています。自分の検査データを知り生活習慣や治療の参考にしましょう。

てんじゅ裏