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平成23年8月1日

(2011年)

 

在宅療養と在宅での死亡にあって

北秋田警察署警察医  奈良医院 奈良正人

 

 最近、警察署から医療機関に通院している人が自宅で亡くなったので死体検案(検死)をお願いしたいとの連絡が入ることが多発している。中には前日まで通院していたが朝に死亡していたとか、癌の末期で在宅療養していたとかの例もあった。病死・自然死で警察が関与するということは一般的にはあり得ない。これらの例では死亡した時、主治医に連絡せず、救急車を呼んだために警察が関与したということであり、その自宅周辺に警察車輌が集合してしまうことになる。このような事態が起きるのは救急車が現場に到着しても既に死亡している場合は搬送しないで警察に連絡するシステムになっているからである。明らかに死亡しているとは言えない心肺停止状態では、心肺蘇生しながら救急指定病院に救急搬送するのは勿論であるが、既に冷たくなっているなど誰が見ても死亡しているのがはっきりしている時は救急車依頼の対象外であることをご理解いただきたい。救急搬送された場合、病院では治療を開始するが、それでも死亡した時は死亡を確認した医師が死亡診断書を発行する。在宅で死亡した場合や、救急車に来てもらったが既に死亡しているので搬送出来ないと言われた時は、主治医に連絡し対応していただくと、生存時の最終診察から24時間以内であれば死亡診断書が発行されるし、それ以上の時は主治医による検死後死体検案書が発行される。死亡診断や検死で、病死・自然死で無い異常死体を検死した医師は医師法21条により24時間以内に最寄りの警察署に届けることになっている。ここではじめて警察による検視と警察医による検死が行われ、問題があれば司法解剖が行われることもあるし、死因究明のため行政解剖を勧められることもある。

 高齢化に伴い在宅療養されている症例も多くなっているが、状態が悪化した時救急搬送するのか、在宅で看取るのか、年齢や病気やそれぞれの状況でケースバイケースであると思われる。患者さんの家族は本人の意思を確認し、主治医とよく相談し普段から緊急時に備えておくことが大切である。更にこれらの対応にケアマネージャー、訪問看護師さん始め、多くの在宅医療サポートスタッフが力になっている現況も認識し、大いに利用してほしいものである。

てんじゅ裏