奈良医院だより  bQ98 

                                                

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   奈 良 医 院

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平成23年10月1日

(2011年)  

 

緊急災害時における医療

 奈 良 正 人

 

3月11日(金)の東日本大震災時、当地区でも停電になり医療現場は大混乱になりました。最近の医療機関は一般家庭同様、多方面にわたり電気に頼っていたと思います。停電だった当日発災後と翌日は、発電機もない当院ではレセプトコンピュターが使えず、レントゲン検査、心電図、眼底検査、院内で行っていた貧血検査、CRPHbA1CPT-INR等の血液検査等は不可能になりました。処方箋と診療明細領収書は手書きで対応しましたが、効率が悪く患者さんにはいつもよりレベルを落とした診療しかできませんでした。それでも11日はいつもよりは早めでしたが、夕方まで診療しました。ほとんどの医療機関が休診していた12日(土)も調剤薬局が対応していただけるとわかり、午前中外来診療ができました。結果的に緊急対応のための危機管理が手薄だったことを痛感しました。停電で待合室の熱帯魚が危機に曝されました。ホッカイロを水槽のガラスに数多く貼ったり、お湯を入れたペットボトルを水槽内に入れたりして、一匹も死なせずに乗り切りました。

 今回の反省から当院ではガソリンを使用する自家発電装置、蓄電式バッテリー装置を準備しました。一日位の停電ではレントゲン検査以外はいつも通り診療が可能になると思います。投薬についても薬局との連携を深めるべき話し合いをしていく予定です。乾電池使用の照明機器等も数多く準備し、乾電池の備蓄量も増やしました。往診に使う車のガソリンも早めに満タンにするようにしています。

 停電により電話等通信手段が無くなったのも困りました。医療機関どうしでも電話等連絡がつかない状況は危機的なものでした。当日開催予定の鷹巣医師団定例医談会を中止したのですが、その通知が出来ず苦慮しました。製薬会社のプロパーさんや卸しさんも動いてくれたのですが、最後まで連絡がつかず、数人が会場に足を運ばれ現場で中止をお伝えしました。緊急時の連絡方法を事前に考えておく必要があると思われました。携帯電話も繋がりにくかった事実をふまえ、鷹巣医師団ではメールでの連絡が可能になるよう事務局(小林眼科医院内)にメールアドレスを登録するなど、緊急時の改善策を推し進めました。

 緊急災害が地元で起きた時、円滑に対応できるよう大館北秋田医師会の救急医療委員会でも、今年度は東日本大震災をふまえ、救護活動マニュアルを再検討しているところです。

 地元医療機関をご利用の皆様からも災害時の医療活動についてご希望やご意見をお聞かせ下さい。皆の力で緊急災害時でも医療機関の機能低下を最小限に留めるためにも・・・・。

てんじゅ裏