奈良医院だより  bR14

                                                

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平成25年2月1日

 (2013年)

 

人 生 と 医 療

奈 良 正 人

 

 人生50年だった頃、日本人は病気もせず「無病息災」の生活をおくり、脳卒中や結核で50歳頃に天寿を迎えたと言われていました。最近では平均寿命も著しく伸び80〜90歳が当たり前となってきました。結核での死亡が減少し、寿命が延びることにより、癌や認知症が増加して、死亡原因もここしばらく癌、心臓病、脳卒中が3位までを占めてきました。しかし、昨年度は肺炎による死亡が脳卒中を上回り3位になった事が報告されました。高血圧、脂質異常症、糖尿病等の生活習慣病の治療効果によるものとも考えられます。心臓病と脳卒中は動脈硬化が主な原因ですが、動脈硬化の危険因子として、食事と運動が大きく影響していると言われています。メタボ健診として行われている特定健診5年間のデータから肥満について分かったことがありました。体重が3〜4%減るだけで血圧、中性脂肪、血糖、善玉と言われるHDL−コレステロール等に効果が見られ、生活習慣病外来医療費が肥満体では男性で36%、女性で51%の増加であったが、体重が1Kg減少しても有意に医療費が低くなることが証明されたということでありました。また体重減少は運動習慣と食事との関連が大きかったことが言われました。運動習慣では歩くこと、階段利用を増やすこと。食事では間食とアルコールを少なくすることだけで、体重減少に効果が見られたとのことでした。試してみる価値があると思います。

 肺炎の死亡率が増加してきていますが、肺炎球菌による肺炎は予防接種で防ぐことが可能な時代です。北秋田市では肺炎球菌ワクチンの公費補助を行っています。平成24年度は1月末で終了しましたが、25年度も5月から公費補助が行われる予定です。広報や奈良医院だより「てんじゅ」やホームページでご確認の上お申し込み下さい。

健康で長生きは万人の願いだと思いますが、長生きは目的ではなく、自分の人生を豊かにするための手段だと思います。好きなことを好きなようにし人生を楽しむためには、健康であることが必要条件と思います。病気があっても日常生活の注意と治療により健康的な人生をおくることは可能なことと思います。長寿の時代「一病息災」をモットーにかかりつけ医を持ち、楽しい人生をおくりましょう。そのお手伝いをするのが当院の役目と思っております。「てんじゅ」まっとうを目標に医療と人生を考えてみて下さい。

(1月30日:北秋田市中央公民館『グットライフ講座&一般公開講座』

〜今、いのちをみつめて〜「人生と医療」を語る・・・講演から)

てんじゅ裏