奈良医院だより  bR17

                                                                         

〒018−3322

秋田県北秋田市住吉町7−1

TEL(0186)62−1146

FAX(0186)62−1194

http://www.digital-k.com/nara.htm

平成25年5月1日

(2013年)

子供のスポーツ障害予防のために

奈 良 正 人

 豪雪に見舞われた冬も終わり新学期と共にスポーツ活動が本格的に行われる季節となりました。大館・北秋田地域でも小学校運動部活動の社会体育化が本格的に動き始めました。平成26年度までに、今まで教員が指導してきた「部活動」を、地域の指導者や組織にお願いする形の「部」=スポーツ少年団に移行するというものです。社会体育で指導しようとした時、心配なのがスポーツ障害です。学校の先生が指導していた時も無かったわけではありませんが、競技専門の外部指導者が張り切って競技力を上げようとし、早期から専門的な技術指導に重点がおかれ、基礎体力や基礎的な運動能力が備わらないまま、全員一律のトレーニングメニューで行われる心配が今まで以上にあります。子供の成長や個々の能力に応じたトレーニングが行われるべきですが、無理なトレーニングの結果、スポーツ障害も多く発生しています。痛み等の症状が出ても休ませず、医療機関にも受診させず、試合直前になって初めて医療機関を受診し、試合に間に合うようと泣き付かれる例もあります。また試合の結果が悪いとペナルティーとして体罰とも言えるような過酷な練習を強いるケースもありました。

 優秀な指導者が子供の健康やスポーツ障害予防に配慮し練習量を考えているのに、親が練習後さらに走らせたり、投げさせたりして疲労骨折や野球肘などのスポーツ障害を起こした症例もたくさん診てきています。指導者や親等大人は、その子供が一番良い結果を出すべき時期に花が咲くように、スポーツの楽しさを教え、その種目に必要な基礎作りに徹すべきと思います。子供時代は基礎的な技術の習得に向いている時期です。正しいフォームやスポーツ障害を起こさない方法を身に付けさせましょう。野球でもボールの握り方やフォームが悪いため肘や肩を傷めた例を多数見ています。ランニングやジャンプを伴うような種目では、膝の骨端炎や貧血が起こり易くなります。準備体操やクールダウン等にもっと力を入れ、柔軟性や体幹筋肉(腹筋・背筋)の協調性を高め怪我なく楽しいスポーツ活動を行わせたいものです。

 秋田県でも「スポーツ秋田」再建を目指しスポーツ推進審議会を立ち上げジュニア期の重要性を論議しています。また秋田県体育協会や秋田県医師会でもスポーツ医科学活用を推進しています。スポーツドクターと接点を持ち、何でも相談しアドヴァイスを受け、子供達にとって楽しいスポーツ活動になるようにしてあげましょう。

てんじゅ裏