奈良医院だより  №322

                                                                         

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平成25年10月1日

(2013年)

スポーツ活動における医学的配慮

日本体育協会公認スポーツドクター    奈良正人

スポーツの秋と言われる季節になりました。健康のため、あるいは選手としてスポーツ活動に取り組んでいる人も沢山いると思います。スポーツは身体を使うのですから、解剖学、生理学やスポーツ医学的配慮が大切な事と思います。

スポーツ障害予防

練習量が増えると効果も出てきますが、スポーツ障害も増えやすくなります。年齢やレベルに合った練習量や無理のないフォームを身につけ、オーバートレーニングを回避することが重要です。子供でもオーバートレーニングで疲労骨折を起こすことがありますが、指導者や親など、大人の責任と思っています。指導者が配慮し練習量を考えているのに、親が更にトレーニングさせトラブルを起こしていることも少なくありません。大会が近づくとスポーツ障害で受診する例もありますが、症状がかなり前からあったのに、我慢して練習メニューをこなし、いよいよ我慢しきれなくなってからの治療では間に合わないことがほとんどです。この背景には、多少痛くても我慢してやるのがスポーツ選手とか、トラブルがあるのが知られるとレギュラーから外されるという気持ちがあるからと考えています。選手と指導者の信頼関係がしっかりできていると起こりえない問題です。

指導者のレベルアップ

 スポーツ障害予防には指導者のレベルアップが不可欠です。正しいフォームを身につけさせ年齢とレベルにあった指導が大切です。更に試合に対しては精神的要素も影響しますので、スポーツ心理学も学ぶ必要があります。ミスをしたら怒る指導者がいますが、怒るとミスが減るのか?体罰を加えると競技力が上がるのか?冷静に考える必要があると思います。指導者は選手にとってあこがれの存在でなければならないと思っています。身体は頭と心が支配しています。スポーツのレベルアップには頭と心を鍛える必要があると思っています。選手自身の判断能力アップが結果につながると思っています。

アンチドーピング

 最近では国際大会だけでなく国体やジュニアオリンピックなど、国内の大会でもドーピング検査が行われています。ドーピング検査で禁止薬剤が検出されると失格になります。更に程度によっては、大会出場停止~永久追放の処分が下されることがあります。すべてのスポーツ関係者はアンチドーピングの知識を持って対応していく必要があります。安易にサプリメントに頼ったり、勝手に市販薬を服用したりしないことです。それなりの選手は医療機関受診の際、ドーピングの問題が起きない薬剤を処方してもらうことが大切です。

てんじゅ裏