奈良医院 より №328

                                                                         

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平成26年4月1日

(2014年)

スポーツ活動に関与して

日本体育協会公認スポーツドクター 奈

4月になり、学生にとっては新学期を迎え、張り切っている季節となりました。ウインタースポーツ以外の種目では、いよいよ今シーズンの幕開けとなりました。シーズン始めは焦らず徐々に練習量を増やしていけば良いのですが、急に練習量を増やしたためにスポーツ障害が出る例もあり注意が必要です。柔軟性を増し、準備体操や整理体操をしっかり行って、定めた目標に向い競技力を高めていくようにしてほしいものです。指導者がスポーツ障害を起こさないよう、トレーニング内容や量に配慮しているのに、親が独自のトレーニングメニューをプラスして行った結果、オーバートレーニングとなり、疲労骨折や野球肘等のスポーツ障害を起こした例をたくさん診てきています。

 持久力が必要な長距離ランナーにとって貧血は大きなマイナス要 です。酸 や 養分を筋肉に運搬している血色 (Hb:ヘモグロビン)が少ない状態が貧血です。スポーツ医学的面から、シーズン中は男子で14g/dl 、女子で13g/dl 以上を維持するようにしています。貧血の治療には食事療法と薬物療法がありますが、現在の小中学校の給食では貧血の改善は期待できません。運動量が多く、しかも貧血の選手にとって、一般の学生よりは高カロリーで、さらに多くの鉄分や蛋白質が必要ですが、給食では年齢相応の平均的カロリーと栄養バランスの良い内容で提供されています。貧血で食事療法が必要な選手には、物足りない内容の食事です。そこで、給食の無い日の3食や給食の有る日の朝食・夕食が大切になります。貧血気味でもタイ が出ているとそれで満足して、貧血の管理・治療を っている例がよく見られますが、しっかりヘモグロビンの管理目標を維持していくともっと良い記録がでることを選手・指導者・親共、認識すべきと思います。

 あらゆる種目で共通しているのは、大会が近づくほど練習量が増え、疲労困憊で試合に臨み、悪い結果で終わってくる例があることです。大会が近づいたら調整期間と割り切って疲労を回復させ、ベストコンディションで試合に臨めるようにしてあげましょう。先のソチオリンピックのメダリスト、ジャンプの葛西選手も、今までは一本でも多く飛んでぎりぎりまで練習していないと不安だったが、疲れがあって結果が良くないこともあり、今回はしっかり休んで、他の競技会 に応援にも出かけたということでした。結果的には疲れを残さず、競技に集中でき表彰台につながったとのことでした。超一流選手でもオーバートレーニングの危険性を感じながら、本番に備えているのです。しっかり練習し、しっかり休んで、疲労を残さず自信を持って大会に臨んでほしいものです。

てんじゅ裏