奈良医院だより №353

                                               

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奈 良 医 院

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平成28年5月1日

(2016年)

ツツガムシの季節です

例年より雪が極端に少なかった今年、桜も早く、農作業や渓流釣り等の野外活動も例年以上に早くなっていると思います。春先~初夏(4月下旬~6月)と晩秋(10月~11月)は、ツツガムシ病が流行する季節と言われています。気温の上昇と共に、今後患者急増が懸念されることから、野外活動では注意する必要があります。
 ツツガムシ病は、ツツガムシ病リケッチアという病原体を持っているツツガムシに吸い付かれ、刺されたところから病原体が身体に入って発病します。刺し口は特徴があり、水疱から黒いかさぶたになってきます。(外来の掲示板のポスター参照)
 症状としては頭痛・発熱から始まり、身体に発疹が出てきます。ここで大切なのは、治療しても熱が下がらないからといって、勝手に病院をハシゴしないことです。それは一般化膿菌に通常使われる抗生物質がまったく効かないことから、継続して診ているドクターは、典型的な症状が時間と共に出てくると、ツツガムシ病を見逃すことはありません。しかし、途中で紹介状を持たなかったり、お薬手帳を持たなかったりして転院すると、それまでの経過や治療内容がわからず、診断が遅れることがあるからです。治療が遅れると、肝臓機能や腎臓機能にも影響し、命の危険が出てきます。
 ツツガムシ病は、刺されてから熱が出るまで(潜伏期)が7~10日位の期間があります。発熱などの症状が出てから治療しても間に合いますので、発熱や刺し口に気がついたら、早めに医療機関を受診しましょう。
 予防法としては、野外活動の時、長袖、長ズボン、手袋を使用するなど、なるべく肌を露出しないようにし、帰宅後はシャワーや入浴をして身体を洗い、着替えることが効果的です。また脱いだ衣類は、すぐに洗濯しましょう。運悪くツツガムシ病に罹ってもテトラサイクリンという特効薬があり、風邪よりも早く確実に治すことが出来る時代です。そのような意味でツツガムシは怖くないと言えると思います。注意しながらも、生活習慣病予防の運動療法として、また趣味の渓流釣りや山菜採り等、野外活動を多いに楽しみましょう。
              どうぞ、つつがなく お過ごし下さい。

てんじゅ裏