奈良医院だより №366

        

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奈 良 医 院

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平成29年6月1日

(2017年)

心房細動について

心房細動は心房が不規則に興奮収縮し、心室への伝わりが無秩序なためにおこる不整脈です。原因としては高血圧症、心臓弁膜症、心筋症、虚血性心疾患など心筋に負担がかかっている場合のほか、甲状腺疾患、睡眠時無呼吸症候群等呼吸器疾患などがあげられます。基礎疾患が無くても起こることがありますが、高齢者ではその発症率が高く、10%位に心房細動が見られるとの報告があります。
 症状としては、突然始まる動悸として自覚されることが多いのですが、胸の違和感、胸痛、めまい、頻尿を自覚する例もあります。中には無症状で、健診等での心電図検査で指摘される例もあります。自覚症状がある場合は心臓なだけに不安感が強いのですが、そのまま心蔵が停止し、死に至ることはありません。しかし、自覚症状がある場合は医療機関を受診すべきです。直ぐ命の危険が無いとはいえ、心拍数90以上が続く時は心不全を起こし命の危険も出てきます。できれば除細動ができ、不整脈が無くなり、正常なリズムになるのがベストです。除細動には、電気ショックや抗不整脈薬が選択されますが、症例によりカテーテルアブレーションで根治を目指すことがあります。カテーテルアブレーションでの除細動成功率は近年1回目で75%位、2回目では90%以上と言われています。
 再発予防に、薬物療法を行うこともありますが、日常生活での過労、ストレス、睡眠不足やアルコール、たばこにも注意が必要です。特に睡眠時無呼吸症候群の症例では、再発し易いとの報告もあります。治療していても心房細動を繰り返したり、持続的に心房細動になったりしている症例では、心拍数のコントロールと抗凝固療法が必要になります。心房細動では血液の流れがスムーズでないことから、心臓内に血の塊が出来易くなります。この塊が血流によって脳血管内で詰まると脳梗塞を発症します。心房細動によって引き起こされた脳梗塞は重症になるケースが多いとも言われています。そのため血栓を作らないように、血液を凝固しにくくしておく必要があります。これが抗凝固療法でワーファリンやDOAC(プラザキサ、イグザレルト、エリキュース、リクシアナ)などが使用されます。ワーファリンは廉価な薬剤ですが、納豆禁止など食事に制限があります。DOACは食事制限もなく、ワーファリンより効果と安全性が高いのですが、薬価が高いのが気になるところです。ただ心房細動があっても抗凝固療法をしっかり継続することで、脳梗塞発症確率が心房細動でない人と同等になるとすれば価値のある治療方法と言えると思います。
  心房細動かなと感じたらいつでもご相談下さい。

てんじゅ裏