奈良医院だより  bQ25

                                           

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                        平成17年9月1日

                        (2005年)

大人の予防注射

奈良正人

医学の進歩とともに病気の治療方法も進歩し、長寿国日本の平均寿命もさらに延び続けています。いくら医学が進歩しても予防に勝る治療はないということに異論はないと思います。子供時代は各種の予防接種が計画的に行われ、病気の予防に貢献していることはご存じの通りです。大人では海外旅行のとき、インフルエンザ流行期前など限られた範囲で行われています。平成15年から旧鷹巣町では肺炎球菌ワクチン(ニューモバックス)を一部公費負担で秋田県では初めて実施されています。

高齢者にとって肺炎は死につながる病気です。日本人の三大死因のがん、心臓病、脳卒中に次いで4番目の死因が肺炎です。肺炎球菌ワクチンは肺炎を引き起こす病原菌のひとつである肺炎球菌の8割に有効で、1回の接種で5〜6年効果があります。本年3月合併により北秋田市が誕生しました。市では本年も昨年と同様3000円の公費助成で肺炎球菌ワクチンを行うことを決定しました。すでに北秋田市広報でお知らせしてありますが、旧森吉町、旧合川町、旧阿仁町の方々にとっては合併のメリットとなった一つとして是非ご利用いただきたいと思います。期間は7月15日〜12月31日まで、満65歳以上の方は誰でも公費助成がご利用できます。60〜65歳未満の方で慢性心・肺・腎機能等の身体障害者1級程度の障害を有する方(別途北秋田市の証明が必要となります。)も対象になります。現在では一生の間に1回だけの接種ということになっていますが、海外では5〜6年後の再接種が行われており、日本でも公費助成は利用できないかもしれませんが、再接種が可能になると考えられています。また冬にはインフルエンザワクチン接種が行われますが、肺炎球菌ワクチンとは一週間あけると前後して接種することが可能です。なおインフルエンザワクチンも旧鷹巣町以外では昨年まで公費補助1000円だったのですが、今年度から北秋田市全域で公費補助1500円になる予定です。これも合併のメリットの一つといってもいいと思います。

これらの決定にあたっては、合併前から旧町の各保健課の方々と医師会の話し合いが行われ、議会の決定を経て実施されることになったものです。合併によるメリットがなかなか見えてこないのも実情ですが、医師会活動においては積極的に市と協力し、市民全体にメリットがあるような方向を今後とも目指していきたいと思っております。市民の皆様からの医師会活動への希望や提言をお待ちいたしております。

てんじゅ裏