奈良医院だより  bQ34

                                         

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                          奈 良 医 院

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                         平成18年6月1日

                        (2006年)

心 房 細 動 に つ い て

奈 良 正 人

不整脈の中でリズムがバラバラになる心房細動があります。発作性心房細動では動悸や胸部不快感、ふらつきなどの症状がみられることがあります。慢性化した心房細動では無症状のことも多く、心電図検査で指摘される例もあります。

心房細動自体は致命的な不整脈ではありませんが、心房の中に血の塊(血栓)ができやすくなるため経過中に脳梗塞になったり、頻脈が持続したときには心不全になり命にかかわることがあります。

発作性心房細動では早期治療で除細動(普通のリズムに戻すこと)が可能です。当院の例では心房細動が起きたとき、発生から48時間以内の症例では、入院せず外来治療で100%除細動に成功しています。治療しなくても一週間以内に自然におさまることが多いのですが、再発が多いのも事実です。発作性心房細動を繰り返していると、いずれ元に戻らなくなることも分かっています。心房細動の永続化を防ぐためには、早めの診察と治療を受けることをお勧めします。一週間以上続く持続性の例では、薬物療法や電気ショックで除細動を試みる価値があります。このときは入院治療が原則です。

薬物治療や電気ショックでも元に戻らない永続性の心房細動では、心不全予防のために心拍数調整治療と血栓が原因の脳梗塞予防のための抗血栓療法が中心になります。

心拍数調整治療では、お薬で安静時の心拍数を90以下に保つのを目標とします。抗血栓治療法では、その危険性に応じて抗凝固療法(ワーファリン)や抗血小板療法(アスピリン、チクロピリジン)を選択します。心臓弁膜症や心不全などの心臓病、高血圧、糖尿病、65歳以上、脳梗塞の既往歴がある症例で危険率が高いと言われています。治療のためワーファリンを服用している例では月1回のトロンボテストなどで薬剤の効き具合をチェックし、薬の量を決定します。クロレラ、納豆などはワーファリンの作用を減弱させるので、避けることが必要です。

特殊な治療法としては永続性心房細動の経過中に脈が極端に遅くなってしまうこと(徐脈)があります。このときはペースメーカー植え込みが必要です。頻脈性不整脈の原因に「刺激伝導系」の異常がある場合「カテーテルアブレーション」という治療法が選択されることがあります。心臓を動かす命令が伝わる経路に近道があるようなとき、この近道を電気的にカットする治療方法で、県内でも施行出来る医療機関が増えてきています。

心房細動治療中の患者さんで、お薬を飲んでいてもいつもと違う症状やめまい、失神などがあったときはできるだけ早く主治医に連絡すべきです。他の医療機関を受診したときは現在服用中の薬剤名を伝えるようにしましょう。日常生活では定期的な外来通院を続けることが大切ですが、精神的、肉体的ストレスを避け、過労に注意する必要があります。さらに禁煙、アルコールやカフェイン(コーヒー、栄養ドリンク類)をとりすぎないことが大切です。血液が濃縮されたとき血管がつまりやすくなりますので、入浴や発汗時には水分を十二分にとるよう心がけましょう。心房細動をうまく長く付き合うためにも・・・。

 

てんじゅ裏