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                               平成19年6月1日

                               (2007年)

野外活動とつつが虫病

奈良正人

近年、日常生活の中で運動不足が目立っています。高血圧症、糖尿病、高脂血症など生活習慣病を考えるとき、積極的に身体を動かさないと心配な状況が続いています。

気温も上がり野外活動に良い季節になってきました。外に出て新鮮な空気を胸一杯に吸ってみて下さい。大都会と違って秋田県の空気はおいしいと思います。太陽光線に含まれる紫外線には、消毒作用やビタミンDやカルシウムに関係し骨を丈夫にする作用があります。骨粗鬆症予防にはカルシウムを多くとり、日光浴と適度な運動が良いと言われていますが、外での様々な活動は骨の老化予防にも大いに役立つことでしょう。

森林にはストレス解消や疲労回復に役立つ「フィトンチッド」がたくさんあります。山菜採りや渓流釣りでは、たとえ収穫が少なくてもおいしい空気を吸える自然の恩恵を受けられるのですから、あまり結果にこだわらずに楽しみたいものです。大自然の中での活動は、一人で出掛けても、数人で出掛けてもそれなりに楽しめると思いますし、日常の些細なことを忘れさせ、身も心もリフレッシュさせてくれることでしょう。

野外活動によって心配なのがつつがむし病です。今年も秋田県内でのつつがむし病の発症が報告されています。つつが虫病は初夏から晩秋にかけて発生するおそれがある警戒すべき病気の一つです。つつが虫はダニの一種で、つつが虫病の病原体(リケッチア)を持つつつが虫に吸着され、人体内に病原体が入り込んだときに発病します。最初の症状は、全身倦怠感、頭痛、悪寒、食欲不振などとともに、39℃〜40℃もの高熱が出ます。4〜5日目になると全身に赤褐色の直径2〜3mmの発疹が出現します。この頃までに適切な治療を受ければ、わりと簡単に治ります。しかし適切な治療を受けなかった場合には、高熱が続き、腎・肝機能が侵され、肺炎や脳炎症状も出現し、死亡してしまうこともあります。つつが虫に吸着され、体内に病原菌が入り込んだ場合、吸着された部位が2〜3日目頃には小さな水泡になり、その後膿疱(ウミがたまった状態)となります。これが10日目頃には周りが赤くなって盛り上がったかさぶた(痂皮)となり、いわゆる「刺し口」と呼ばれるものになります。ただ、つつが虫が取り付いても、病原体が人体に入るまでかかる時間を利用して、衣類や身体についているつつが虫を避ける工夫が発病予防に有効です。

@     野外活動の際はできるだけ素肌を出さないこと。

A     野山等から帰宅した際は早めに着替えをすること。

B     帰宅後は早めのシャワーや入浴で体を洗い流すこと。

以上のことに気を付けながら、アウトドアライフをお楽しみ下さい。つつが虫病は、刺されてから熱が出るまで(潜伏期)約5〜14日位の期間があります。もし発症しても、症状が出てからの治療開始で間に合いますので、熱が出たり刺し口に気が付くなど、気になる症状が出た場合は早めの受診をお勧めします。どうぞ、つつがなくお過ごし下さい。

 

 

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