奈良医院だより  bQ59

                                          

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 奈 良 医 院   

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 平成20年7月1日

(2008年)

 

医療の発展の為に

                  奈良 正人

 

 先日、昭和大学医学部工藤進英教授の大腸癌研究所開設祝賀会に出席した。工藤教授は秋田県の大腸癌撲滅の為、大腸癌研究所設立を考えていた。私も高校の同級生であり発起人会の一人として数年前から設立委員会に出席していた。工藤教授は医療機器メーカーと共同で大腸拡大内視鏡を開発し、大腸癌の早期発見、治療を世界に先駆けて確立したドクターである。この度、秋田市中心街のホテルの3階に姪の工藤由比先生が開設した工藤胃腸内科クリニックに併設して、工藤大腸癌研究所を立ち上げた。秋田日赤病院から昭和大学医学部教授として赴任する時から、ふるさと秋田の医療を考えていたという。

 現在、医療の発展とともに医師の専門志向と細分化が進み、一人のドクターの努力だけでは複雑な医療に対応することが難しくなってきている。検査や手術分野でも職人技と言われる医療技術向上のトレーニングも、近年は医局員も少なく早期に出張するなど医師自身が忙しく、昔のように長く大学に残って時間をかけて行うことが困難になってきている。

 医学の発展には、医療機器の開発等で大学医学部だけでなく工学部などとのタイアップが不可欠である。手術用の顕微鏡、手術ロボット、ペースメーカーなど医用電子工学などの恩恵を受けて開発されたものも少なくない。

 先日、工学部の専門家の方からペースメーカーの件でお電話をいただいた。ペースメーカーについて患者さんへの説明が十二分にされていない。医療発展の為に医学以外の専門家のアドバイスにもっと耳を傾けるべきだとの内容であった。患者さんに医療器械のことを正しく説明する為にも専門知識の習得が必要であること、新しい医療機器の開発に対しても、医学部だけでなく工学部等の専門家とのタイアップの必要性を今まで以上に感じさせられた。

てんじゅ裏