奈良医院だより  275

                                        

 

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奈 良 医 院   

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平成21年11月1日

(2009年)

 

アナフィラキシーショック

奈 良 正 人

 人間には外敵から身体を守るために、免疫能力を備え色々なビールスや細菌が入っても発病しないようにしています。人工的に免疫学的抵抗力をアップさせようというのが予防接種です。インフルエンザワクチン、麻疹・風疹ワクチン、三種混合ワクチンなどがこれにあたります。この免疫機構に異常をきたし、自分自身の身体を攻撃してしまうのが自己免疫疾患です。

 人間にとって大切な能力ですが、時にはその免疫機構があだになることもあります。その代表がアナフィラキシーショックと言えると思います。蜂に刺されて死亡したり、食品のアレルギーでショック状態になったというニュースを記憶されている方もいると思いますが、その本体がアナフィラキシーショックです。

 先日、当院に通院している患者さんがスズメ蜂に刺されショック状態になったことがありました。この例では、蜂に刺されたことを知らされていた一緒に作業していた人が、異変に気づき119番通報し、救急車内でAED(全自動除細動器)を使用して救命され、入院3日で退院しました。ショック状態で血圧が下がって心臓の働きが落ち、危険な状態からの生還でした。このようなショック状態で血圧が下がり危険な時、血圧を上げる薬がエピレナミンです。この薬の携帯用注射キットがエビペンです。山での作業を仕事にしている人はエビペンを常に携帯し、蜂に刺されショック状態になりそうになったら、自分で注射して病院に向かうようにしています。先の例は幸運にも助かりましたが、少しでも治療が遅れると命の危険が大きくなるため、医療機関からエビペンを処方してもらい、使用方法の指導を受け携帯するシステムにしています。エビペンを処方するためには講習を受け登録した医師や薬剤師しか取り扱えませんが、当地区で登録している医師は数人で、薬剤師さんの登録はありません。大館北秋田医師会が主催しエビペン登録資格の研修会を計画していますので、処方出来る医師・薬剤師が増えると思います。蜂に刺された経験があり心配な方はかかりつけ医にご相談下さい。奈良医院でも既に処方しております。

 

 

てんじゅ裏