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平成23年6月1日

(2011年)

野外活動のすすめ

―ツツガムシに注意―

                  奈 良 正 人

 例年より遅めでしたがやっと新緑の季節になりました。閉じこもりがちだった冬には運動不足から、体重が増えたり、LDL-コレステロール(悪玉)や血糖が増えたり、HDL-コレステロール(善玉)が減少した例もありました。生活習慣病と言われる、高血圧症、糖尿病、脂質異常症にとって運動療法は大切なものです。スポーツを行うとだけ考えず、身体を動かすことすべてが運動療法になると意識し、この季節を楽しみましょう。新鮮な空気を吸いながらお花見に出かけたり、山菜採りや渓流釣りで歩いたり、趣味と実益を兼ねた物等は特におすすめです。膝に不安が有る時はサイクリングがお勧めです。心血管イベントや脳卒中の危険因子として高血圧、高脂血症、高血糖、肥満、喫煙などがありますが、タバコ以外はすべて運動不足が解消されると良い影響が出るものばかりです。子供達にも幼い時から野外活動の楽しさを教え、成人してからも運動習慣を継続していけるようにしてあげましょう。健康のキーワードは粗食と運動と言われておりますが、冬の運動不足を取り戻すにはこの季節から意識して始めるのが最適と思います。病気で治療中の方は、運動療法の程度について主治医と良く相談して行いましょう。

 秋田県において野外活動でこの時期気になるのがツツガムシです。つつが虫病は、ツツガムシ病リケッチアという病原体を持っているツツガムシの幼虫に吸いつかれたところから病原体が身体に入って発病します。刺し口には特徴があり、水疱から黒いかさぶたになってきます。頭痛・発熱から始まり、背中や胸や腹に発疹が出てきます。刺されてから症状が出るまで約4日〜14日位の期間があります。症状が出てから治療しても間に合いますので、発熱や刺し口に気が付いたら早めに医療機関を受診しましょう。予防としては、山林や野原に出かける時はなるべく素肌の露出部分を少なくし、帰宅したら早めにシャワーを浴びたり入浴したりして身体を洗い、着替えることが効果的です。運悪くつつが虫病にかかっても風邪よりも早く確実に治すことができる時代です。注意しながらも恐れず、野外活動を楽しみましょう。身体を動かすことによりストレスを解消し、生活習慣病にも好影響を与えるとすれば、年齢を問わず野外活動は運動不足でストレスの多い現代人に最も必要なのかも知れません。

てんじゅ裏