奈良医院だより №383

        

〒018-3322

秋田県北秋田市住吉町7-1

奈 良 医 院

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平成30年11月1日

(2018年)

奈 良 正 人

 

風邪は万病の元

―肺炎に注意―    奈

 朝晩の冷え込みが目立つ季節になりました。そのためか風邪症状で来院する患者さんが増加してきております。こじらせて肺炎を起こし入院する例もあります。
 厚生労働省によると、肺炎で亡くなる方は死亡者の9.4%で、死亡原因1位の悪性新生物(がん)の26.7%、2位の心疾患の15.2%に次いで第3位ですが、高齢者ほど死亡率が高く90歳以上では1位の心疾患に次いで第2位で、3位のがんを上回っています。    
 海外では肺炎で亡くなるのは、主に児童・乳幼児と若年者に多く、世界中で約25万人の子供が肺炎で死亡しています。我が国では子供が肺炎を起こしても早期に的確な治療が出来る環境にあり、治癒率が高く、肺炎は高齢者の病気との認識が主流を占めております。  
 高齢になると咀嚼嚥下能力が低下し誤嚥性肺炎を起こし易くなります。更に喫煙習慣も影響していると言われております。ひと昔前まで、喫煙はごく当たり前の光景だったことを覚えている方も多いと思います。喫煙率は女性より男性が高く、約15年位前は男性の5割がタバコを吸っていました。その方々が高齢になって肺が弱くなってしまったために、肺炎に罹り易くなっている可能性があります。そう考えると今の若年者の喫煙率の減少は、彼らが高齢者になった時に肺炎死亡率が減少していると思われます。高齢者ほど口腔ケアをしっかりし、むせないよう注意して誤嚥性肺炎を予防しましょう。加えて肺炎の原因菌のトップである肺炎球菌に対してワクチンで予防しましょう。65歳以上に行われている肺炎球菌ワクチンについては、北秋田市では65歳以上何歳でも、しかも在宅酸素療法等リスクの高い例では60歳以上を対象に公費補助をしております。現在公費補助の対象になる肺炎球菌ワクチンはその持続効果が5年と言われておりますが、5年以上経過した場合の公費補助が2回目だけでなく、3回目以降も行われているのは全国でも北秋田市だけです。高齢者の方は肺炎球菌ワクチンを接種しましょう。インフルエンザワクチンとの同時接種も可能です。インフルエンザが流行する季節になってきました。今シーズンは既に東京都や山形県で学級閉鎖の情報もあり、昨年より流行が早いと予想されております。流行する前に早めのワクチン接種をお勧め致します。

てんじゅ裏