奈良医院だより №391

        

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秋田県北秋田市住吉町7-1

奈 良 医 院

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令和元年7月1日

(2019年)

奈 良 正 人

肺炎球菌ワクチン予防接種について

 先月、東京で開催されたワクチン研究会2019に参加してきました。研究会では、冒頭の挨拶で肺炎球菌ワクチン接種が5年前より定期接種になったのに接種率が低いままであること、更に5年間定期接種を継続するという閣議決定がなされた事が報告されました。
 研究会では、肺炎球菌ワクチン接種により得られる予防効果は5年間有効で、5年以上経った後の再接種でも初回と同様の抗体の上昇が見られ、有効性が確認されたとの発表がなされました。副反応の主な物は注射部位の発赤、腫脹、シコリ等ですが、再接種の方が初回より多く見られ、その程度も強かった例が多いとの報告がありました。その発表に対し、私はフロアーから感想と意見を述べました。北秋田市では3回目以降の再々接種も公費助成をしており、当院で3回目接種した50以上の症例での副反応は、4%で2回目より少なくしかも軽い物であった事を報告してきました。更に国の肺炎ワクチンの定期接種では1回限りとか、過去に接種した人は対象にならないとしているため、一生に1回しか接種できないと勘違いさせているのではないかと思っています。臨床の場にいるドクターが定期接種は1回限りであるが任意接種は5年以上の間隔で何回でも可能であることをしっかり説明し、接種を勧めると接種率も上がると思っていますと話してきました。北秋田市の再接種さらに再々接種も公費助成しているとのコメントに会場から感嘆の声があがり嬉しく思ってきました。また研究会終了後の意見交換会では、乾杯の挨拶に立った先生が、北秋田市を名指しし、医療と行政との協力で再々接種も公費助成しているのは素晴らしいとのお話をしていただき、研究会に参加の先生達の奮起を促したのが印象的でした。
 北秋田市では鷹巣町時代の平成15年から秋田県最初の肺炎球菌ワクチン公費助成を開始。平成17年には4町合併で発足した北秋田市になってからも全市で公費助成を継続。平成24年度からは2回目接種の助成を開始。更に平成29年度からは3回目以降の接種も助成開始。現在も世界最高レベルの肺炎球菌ワクチン予防接種事業が継続しております。
 北秋田市の肺炎での死亡者数はあまり変わっておりませんが、総死亡数に対する肺炎死亡割合は減少しております。年齢別でも以前より肺炎で亡くなる方の年齢が上昇しており、高齢者でも74歳以下の肺炎死亡の減少は、予防接種の効果と言えると思います。
 病気の早期発見、早期治療が大切と言われ+ておりますが、予防の方がもっと良い事は当たり前のことです。こんな良い環境の北秋田市市民は積極的に肺炎球菌ワクチンを受けましょう。


てんじゅ裏